先輩経営者に訊く

お客様の想いをカタチにするものづくりを!

株式会社上畑木工
  上畑裕之氏
昭和初期から、丹波市(当時氷上郡)春日町で林業・木工業が盛んに行われて一時期には130件もの木材関連の製造業者がありました。昭和6年にご祖父が創業した木工の仕事を、平成13年に上畑裕之さんが継承いたしました。時代の流れと共に木工業の在り方も大きく変化し、仕事が半分以下に減った時期もありながら逆境に立ち向かい、今はお客様の笑顔がこぼれる商品づくりに喜びを感じる日々だそうです。上畑さんがお仕事の上で大切にされていることや実直に向き合ってきた木工の仕事について語っていただきました。
  • Q.
    上畑さんは、家業の木工業を継承されたということですが、創業はどなたですか?
    A.
    昭和6年に祖父の上畑伊之助が前身「マルイ木工」を創業しました。内地のヒノキを使用したやぐらごたつを生産、全国に発送していました。社員は50名おり、現在のように機械や設備も少なくすべて手作業でした。はじめは豆炭のやぐらごたつでしたが、その後電気こたつも25年ほど製造しました。昭和50年代くらいからはシステムキッチン収納の木部等、様々な木製品を製造するようになりました。
  • Q.
    手がける製品が幅広くなってきたのですね。
    A.
    昭和56年に社名を株式会社上畑木工に変更し、58年に父が代表取締役に就任しました。昭和60年代からは、オフィス家具やカラーボックス、机の引き出し関係などのメーカーと取引を始めました。医療機器メーカーからは約10年間「あんま機」の依頼があり、木枠で本体を組み、骨組みを作り、ウレタンやレザーで構成までしてお届けしてきました。平成2年ごろからは家具メーカーとの取引も始め、マガジンラックやスリッパラック等を製造しました。量産できるよう機械や設備を整え、他にも住宅メーカーの出窓の加工など、木部だけでなく樹脂的な加工も行いました。
  • Q.
    上畑さんご自身はいつから家業に携わりましたか?
    A.
    私自身は学校を卒業後、JAで6年間勤めてから家業に入り、平成13年4月に代表に就任しました。住宅パネルメーカーさんとの取引も始め、丁度震災も重なり市営・町営住宅の仕事にも関わり毎日忙しくしていました。しかし翌年からは公共工事の削減に大きく影響を受け、仕事は半分以下に減ってしまいました。
  • Q.
    逆境に、どのように立ち向かいましたか。
    A.
    まず商工会の補助金を頂きながら仕事を探しました。100件ほど営業にも行きましたが、うまく成果が出ませんでした。また園芸好きの母親にヒントを得て、木製プランター等の園芸用品を作り始めました。しかし花屋さんなどに営業に行くと、90%輸入品を使用していて、価格的に太刀打ちができません。困っていたところに、但馬高原植物園の田丸和美先生とご縁があり、内地の杉材を焼杉にしたもので、寄せ植え教室等に使うプランターを制作しました。プランターは、森公園や加古川の県民局など、県内の各地で使っていただいてます。またその頃ホームページやブログを開設、製造した園芸用品を載せたのを見て、三重や徳島の方からお問い合わせやまとまった注文もいただけるようになりました。
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  • Q.
    園芸用品は上畑木工さんの特徴の一つですね。
    A.
    弊社のある春日町の大路地区は、昭和初期から木工業が盛んでした。現在では大路地区だけでなく全国的に木工業界は減っています。以前はメーカーの下請けが中心でしたが、これからは、独自のものを自らお客様に提案することが大切です。園芸用品以外では、椅子に座って使えるご詠歌用の机なども独自の商品です。既製品のご詠歌用机は正座用の高さですが、お寺にはひざや腰が痛くて正座が難しい方も来られるので、椅子に座って使えるものができないかと直接ご相談いただきました。製作・納品すると、つながりのある他のお寺からもご注文いただけたり、ブログを通して鹿児島等遠方のお寺からもご注文をいただけました。同じご詠歌机のご注文でも、塗装や高さなどそれぞれにニーズがあります。その都度ニーズに合わせて作るのはとても楽しく、また早急に作ってほしいとご依頼いただくこともありますので、そのために材料も様々なものをストックするようにしています。
  • Q.
    人の想いを丁寧にくみ取りながらお仕事してきた様子が分かります。
    A.
    木工に関わって25年になりますが、作ることも、人と話すことも大切だと実感しています。同じ大路地区の細見木芸さん、三井庄木工さんと一緒に「ウッドかすが」という団体を立ち上げて、地元の小学校の1年生に木製のペン立てをプレゼントしたり、地元や、尼崎市などで夏休み木工教室を開いたり、イベントに出店したりもしています。木に触れてもらいながらお客様と会話したり、同業者とコミュニケーションも取れる大切な機会です。今、メーカーさんからいただくお仕事と独自の商品を注文していただくお仕事と、半分半分という割合でさせてもらっています。これからも人と話すこと、想いをカタチにすることを大切に、どんな小さい仕事でも真心を込めて行いたいという気持ちです。