先輩経営者に訊く

丹波市にそば街道をつくる!

そばんち
  代表者 佐藤勉氏
62歳定年後に丹波に来たおじちゃんが、未経験から蕎麦屋「そばんち」を立ち上げ、現在なんと7店舗がならぶ「そば街道」まで実現してしまうなんて!誰が想像できたでしょう?今回のインタビューは、食べログでも上位評価を得る蕎麦屋のご主人・佐藤さんの「原動力」に迫ります。
  • Q.
    「そばんち」をつくった経緯を教えてください。
    A.
    東京出身東北育ちですが、丹波・福知山で製紙工場の技術職を勤めあげました。定年後、未経験の蕎麦屋でしたが、新たな生き甲斐をと思い挑戦しはじめたのが始まりです。オープン日は2005年11月27 日、忘れもしない「誰も来ないオープン日」となりました。

    そばんち外観
  • Q.
    事業をおこす際に、なかなか踏み出せない最初の一歩。
    佐藤さんはどんな一歩からはじめましたか?

    A.
    とにかく、そばに関しての「知識」を溜めました。なんたって全くの未経験だったのでね(笑)。何十冊も本を読んで、全国の蕎麦屋を巡り歩きました。なので、よく人から「そばはどこで習ったんですか?」と聞かれるのですが、習ってないんですよ、修行してない(笑)。「習っていない」というのは、そばんちを始めた当初は恥ずかしかったですが、今は寧ろ「習ってなくてよかった」と思ってます。

    腰巻き
  • Q.
    「習ってなくてよかった」というのは、なぜですか?
    A.
    習っていないから常識にとらわれないでしょ?例えば、そば粉作りで最後に残る「さな粉」というのがあります。本来あまり使用されない「さな粉」ですが、それがとても美味しかったのです。実はこれは、お店におそばを食べにきてくれた「辛口さん」というブロガーから頂いた助言でもありました。そうやって、そばに対してまるっきり初心者だったので、人に聞いたり、いろいろ試してみたりして、自分の「おいしい」を見つけてきました。人気の「そばの実アイス」や「粗挽きそば」も、そんな試行錯誤の過程で生まれました。「習ってなくてよかった」というのは、新しいことに無理なくチャレンジできるので「独自性」を見つけやすいからですね。

    そば粉

    大根おろし
  • Q.
    丹波市という異郷の地で事業を起こすことの良いところ悪いところを教えてください。
    A.
    良いところは、「目立つ」こと。ちゃんとしたことをやっていれば、都会みたいに人が多くて埋もれることはなく、注目してくれます。丹波新聞で取り上げてくれたり、丹波市の企画に呼んでもらったり、いろんなところに顔が出せる。それはありがたいことですね。
    悪いところ(今後の課題)は、私の家は福知山にあるのですが、福知山ではまだまだ「そばんち」の認知度が薄い。丹波ではそこそこ知られてきた感覚がありますが、福知山市と関係性が薄いせいか、なかなか福知山まで情報が届かない。それが今の課題です。

    背中

    そばを切る
  • Q.
    起業する人に必要なことは?
    A.
    例えば「そばんち」では、基本的に「そばを打てる人」ではなく、「蕎麦屋をやる人」を育てています。「時間で働く人」では、起業はできないと思っています。起業をしたら24時間起業をしています。なので、ここでは新しい提案をすることを促しています。提案が却下されたとしても、自分から否定してもらいにいくくらいになってほしいと思っています。そして、「人に使われる」よりも「人を使う」立場にいることを意識することが経営する立場で必要なことですね。
  • Q.
    「そばんち」の経営方法がユニークで面白いですね!
    A.
    「売り上げ」をみんなに「見える化」しています。そうすることで、売り上げに対しての自分の責任を感じて切瑳琢磨することを促しています。例えば「そばんち」の店主は私ですが、「店長」には売り上げの〜%を渡して、店の雑用をしてくれる「ユーティリティー部長」には〜%を渡して・・・・など。なので、例えば売り上げが0だった日には、「そばんち」から最低金として1,500円が渡されるのみとなります。厳しく聞こえるかもしれませんが、もしそば打ちを習うのだとしたら都内では何百万とかかると聞きます。そう考えると、修行しながら収入が入るのは寧ろ喜ばしいことでしょう。
  • Q.
    「そばんち」に来たお客さんに、どういう時間を過ごして欲しいですか?
    A.
    お客さんには「そばがうまい!」でなく、「蕎麦屋を食べにきたい!」と思ってもらいたい。それは、「そばが好き」だけでなく、「亭主が好き」「雰囲気が好き」など、食べるだけに留まらない時間を過ごして欲しいと思っているからです。
  • Q.
    日々大切にしていることを教えてください。
    A.
    苦手なことを克服するのも大切だけど、「自分の得意なところを伸ばす」こと。そして、それをやる際に「いつまで」を決めないこと。目標は決めておいて、それに向かって「小さな達成」を繰り返していくことが大切だと思う。「戦略は大雑把、戦術は細かく」って感じだね。

    そば
  • Q.
    最後に、後輩経営者にアドバイスをどうぞ!
    A.
    大切なのは「何をするか」ではなく、「なぜするか」。
    そばんちをやる際にも常に考えていることですが、「そばんち経営すること」は「目的」ではありません。「そばんち」を通して「何を成し遂げるか」を考えています。例えば「そばんち」を通して人と出会えたり、繋がりができたり。だから「起業」を目的としないこと。「生き方」を含めて、自分が何でやるのかと常に問いかけることが大切です。

    また、「常にチャレンジする」こと。マンネリにはしないということです。
    「そばんち」は最初のオープン日に誰もこなかったのです。お客様0人です。でもだからこそ、後は業績が上がっていくしかないでしょ?だから敢えて0人にしたんです(笑)。最初が悪かったら、後はどんどん上がっていくだけだしね。それでも、常に新しいことに挑戦して伸びていきたいと思うことが、起業において大切なことですね。

    最後に、起業になによりも大切なのは「タイミング」。「人の一生」を20歳に分けると、①0~19歳:仕込み(冬) ②20~39歳:社会への旅立ち(春) ③40~59歳:社会の主役(夏) ④60~79歳:人生の仕上げ(秋)、そして「余生」だと思っています。そんなことも考えながら、起業をする時に「人の繋がり」、「時間」、そして「お金」が自然と集まってきたら、その時が「タイミング」でしょう。

    内観

    そばんち扇子

    そばんちブログ  http://blog.livedoor.jp/sobantisatou/
    そばんち食べログ http://tabelog.com/hyogo/A2807/A280701/28009027/