先輩経営者に訊く

地域社会、お客様、仕入先、従業員全て良し!

株式会社 オオツキ
  代表取締役 大槻 祥三氏
創業は昭和23年。行商からスタートし、現在は日用雑貨や作業服等の販売を行い、地域の人たちに愛され続けている㈱オオツキ。大槻祥三氏はその三代目の代表取締役です。地域社会もお客さまも、仕入れ先も、そして従業員も大切に。㈱オオツキの掲げる「四方よし」について語っていただきました。
  • Q.
    株式会社オオツキを創業されたのは、おじいさまだったと伺いましたが?
    A.
    はい。祖父が戦後の昭和23年、戦争から帰ってきて、農業で作ったお米を石鹸に変え、その石鹸で行商を行っていたのがオオツキのスタートです。自転車で福知山の方まで行き、資生堂の石鹸を売り歩いていたのですが、当時の平均月給の100倍ほど、月商をあげていましたので、相当の営業マンだったのだと思います。資生堂の中でも「丹波の山奥にすごいやつがおる」と噂になっていたようで、のちにバックアップも受けながら、日用雑貨と靴の卸もスタートさせました。
  • Q.
    そこから、商売が受け継がれていったのですね。
    A.
    それが、大槻家は男に恵まれなかったので、祖父自身も婿養子で、祖父の子どもも私の母と叔母、娘二人でした。祖父は長女の母に商売を継がせたかったのですが、母は勉強が好きで進学を希望していました。それを「商売人に学歴はいらん」と祖父に言われて諦め、それでも商売は嫌だと抵抗し、サラリーマンだった父と結婚しました。しかし、跡を継いだ父が早くに亡くなり、従業員を抱えた状態で商売をやめるとも言えず、しぶしぶ母が商売に携わることになりました。その母が現会長ですが、今のオオツキの規模にしたのが、実はその商売嫌いの母親で。子どもから見て「どこが嫌いだったのか」と思うくらい大きく事業を広げていって。
  • Q.
    業務等も変わってこられましたね。
    A.
    はい。石鹸の卸をしていた状態から、ゴムなどを扱いだして、靴の方の卸をしだしたのが昭和37年です。その後昭和56年に靴の卸仲間の中から紹介され、作業服も取り扱い始めました。ちょうどそのころは舞鶴若狭道が建設中で、職人さんも多く、こういう店が欲しかったというニーズもあり、これなら広げていけると母は考えたようです。現在は靴からは手を引き、作業服をメインとした小売業を行っています。
  • Q.
    商売を行うに当たり、どのような想いをもっておられますか?
    A.
    今のオオツキの経営理念は、会長である母が社長だった時に考えたものです。読んでいると、オオツキの理念でありながら、私の母親の生きざまも表れているように感じられます。
     経営理念は、「共に学び、共に働き、共にに栄え、共に幸せになる。生かされている我身を省みて、報われる事を期待せず、ひたすら人の喜び、地域の幸せを願う、そんな誠の心で仕事に当たるとき、自らの生命輝く」というもので、母から「どう思う?」と聞かれて一言当時の僕は「長い」と言ったんですけど、読んでみると「なるほどな」と思って。
  • Q.
    経営理念に込められた想いを、詳しく教えていただけますか。
    A.
    最初の「共に学び……」の一文はいわゆる共存共栄を表しています。その中でも一番大切なのが、最初の「共に学び」の部分です。「共に働き」よりも「共に学び」が先にあるのは、働く前に自分自身が成長しておかないと人の役にたてない、という想いからです。学ぶのはいわゆる学問だけでなく、仕事を通して人と接することで教えていただけることもたくさんあります。年配の方からはもちろんですが、赤ちゃんから学ばせていただく事もあります。自分自身以外はすべて先生になるという想いで学び、学んだことや感じたことを人に向けて出していくのが「共に働く」ということだと考えています。従業員が一人一人そういう気持ちになったら、人が学んだことも共有できるし、それを仕事に出していくことでお客さんも一緒に栄えて幸せになっていけたらという想いです。
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  • Q.
    すべては自分の成長ありきということですね。
    A.
    また、後半の「生かされている我身……」というところはまさに母の生きざまを感じます。母は父をはじめ、一度にたくさんの家族を亡くしてきました。そこから、明日のいのちが保障されているわけではないと感じるようになります。よく「生きている」という文言を我々は使いますが、勝手に息をしてくれて、勝手に心臓が動いてくれて、勝手に食物も消化されている。自分で作ったものは何一つなく、全て与えられたものだと考えると、決して自分一人で生きているのではなく、周りからの縁を得て生きていると言えます。生かされて生きているのだという言い方を、社内でも従業員に対してよくしています。
  • Q.
    従業員の方の教育に力を注がれているのを感じています。
    A.
    ずるも楽もしたいのが人間の性(さが)ですが、報われることを期待せず、人が喜んでもらえることを黙々としていると、最終的には自分に返ってくる。そういう気持ちで一人一人が仕事をしていくことで、地域に必要とされる会社になっていくと考えています。競合や、ネットショップなどがたくさんある中で、オオツキを選んでいただいたお客様に喜んでいただくことが大切なのはもちろんです。ですが、従業員満足がないとお客様にサービスができないので、従業員をまずは大切にさせてもらっています。
  • Q.
    お客さまも、従業員の方も、どちらも大切ですね!
    A.
    それだけではなく、うちは小売業なので仕入れ先さんも大切にとよく話しています。仕入れ先さんに物を分けていただくとき、こちらが横柄な態度だったりすると、メーカーさん側にしたら売りたくなくなりますよね。どちらもお互いに、一緒に成長していきましょうという会社であることで、良い情報やいい商品を分けていただけるようになると考えています。また、地域社会に貢献することも大切です。それぞれの地域で頑張っていらっしゃる人、働かれている人を元気な声で精一杯の笑顔でお迎えすることが、地域の活力の一助になればと願っています。また働いていて楽しいいう会社のイメージを持ってもらい、存続しつづけることで、各地域のお役にたたせていただきたいと思っています。