先輩経営者に訊く

人との出会いが生んだ
新規事業

ミストフェリーズ
  畑道雄氏
コモーレ丹波の森ショッピングタウン内で3店舗経営。市内経済活性化を図るプレミアム商品券発行の仕掛人です。丹波白雪大納言生産組合でまちおこし事業にも着手されています。 多彩な顔を持ち行動力あふれる経営者である畑道雄さんにお話をお伺いしました。
  • Q.
    まずはこれまでの歩みを振り返っていただけますか?
    A.
    昭和46年に市島で生まれ、高校まで丹波市で過ごしました。その後、某大手スーパーに就職し、当時すでに伝説的存在だった創業者の薫陶を受けました。ちょうど世代交代の時期で、息子さんが継いだ後の経営も体験できたのはいい経験でした。
  • Q.
    創業者とその後継者で、何か違いを感じましたか?
    A.
    創業者はやはり情熱があります。仕事に対して厳しいですが、人情に篤い。一方で二代目は頭の切れる方で、米国で学んだ経営手法を導入されました。その影響もあったのでしょうか、自分もアメリカに憧れて、その後1年間アメリカで暮らしました。
  • Q.
    現在の職業につかれたきっかけは?
    A.
    阪神淡路大震災です。当時付き合っていた、彼女の就職活動が、震災でそれどころではなくなり、そしてその頃同時に、知人から柏原にショッピングセンターができるので、ファッション店舗を出店しないかと誘われました。これもチャンスと考えて丹波市内で起業と、結婚(笑)を決断しました。
  • Q.
    実際に出店されていかがでしたか?
    A.
    専門店街の販売促進担当として汗をかきました。今でも忘れられないのは、平成16年にショッピングセンターが台風による豪雨で浸水した時の対応です。当初は途方に暮れたのですが、各店舗の気持ちを途切れないようにするため、この先3か月間の計画を共有し、そこに描いた未来に向けて一丸となって復旧につとめました。11日目に再開させることができ、休んでいた分を上回るほどのお客様にご来店いただけたのを見て、本当に嬉しかった思い出があります。

    当時を振り返る畑さん。ピンチをチャンスに変えていく話に一同が引き込まれる
    photo:当時を振り返る畑さん。ピンチをチャンスに変えていく話に一同が引き込まれる
  • Q.
    現在では、専門店街を代表する立場ですね。
    A.
    はい、会長となって10年余りになります。その間、単に専門店街だけではなく、ショッピングセンターに関わっていらっしゃるその他の店舗さんとも連携して取り組めるよう、話し合いと調整をしました。共同でチラシを折り込んだり、抽選会も一緒にしたり。コープさんでもこうした共同は珍しいかもしれません。
  • Q.
    このほど、白い小豆「白雪大納言小豆」の生産者組合も立ち上げられましたね。
    A.
    高校生がきっかけをくれたんですよ。高校で授業をしていた時、白あんが小豆からできていると思っていて、高校生から「あれはインゲンマメです」と突っ込まれたんです。それで、小豆の白いものもあるはずだと探したという。
  • Q.
    まったくの独学で?
    A.
    ええ。負けず嫌いというか。すると、あったんですね。北海道の白小豆と、備中小豆。そして、備中と丹波大納言小豆から兵庫の改良センターが品種改良した、白雪大納言があった。白小豆や備中小豆は小さいのですが、白雪大納言は大納言小豆の大きさを備えている。しかも、風味があるんです。そんな魅力のあるものだったのですが、生産が広がらず、お蔵入りになっていたんです。

    時には負けず嫌いも原動力に
    photo:時には負けず嫌いも原動力に
  • Q.
    それにしても、農業にまで進出する幅の広さに驚かされます。
    A.
    出会いですね。丹波市の懇話会で知り合いになった農家の方がいらして。白雪大納言の話をすると、おもしろいから一緒に取り組もうと。それで、まずは種子を増やすことから始めました。
  • Q.
    出会い力というのでしょうか、そこに人間力を感じます。
    A.
    基本的に、頼まれごとは断らないようにしているんです。そうすると、さまざまな出会いに恵まれるということではないでしょうか。「丹波農業グランプリ」で賞をいただいたときも、たまたま同時受賞された中に、酪農家さんと酒蔵さんがいらっしゃって、さっそくお二人とお話してお酒のアイスクリームを実現しました。
  • Q.
    そのように伺うと、むしろ出会いを積極的に活用することが重要ですね。
    A.
    活用するというか、その時出会ったその人にとって喜ばれることを提案したい、実現したいという思いです。どれだけの人に喜んでもらえるか、そのために何ができるかと考えてきた結果が、新しいビジネスにつながっているのです。
  • Q.
    人のつながりを活かすコツはあるのでしょうか?
    A.
    本音で接することではないでしょうか。できるだけ正直に現状を伝え、できることできないことを言い合うようにしています。時にはそれがきつい口調として嫌われているかもしれませんが、それも覚悟の上で、裏の無いお付き合いをさせていただくように心掛けています。

    ショッピングセンターのことから、農業のことまで次々出される質問に経験を踏まえて 的確に答えていく
    photo:ショッピングセンターのことから、農業のことまで次々出される質問に経験を踏まえて 的確に答えていく
  • Q.
    気持ちが折れるときはありませんか?
    A.
    折れるという感覚が分からないんです。相手の言葉に納得すれば折れたことにならないですよね。本音で話し、相手の言葉もじっくり聞く。そのようにして、相手と折り合いをつけるというか。ぶつかったら、いったん本来の目的に帰るようにしています。目的の共有と確認をあらためて行い、そこに向けて、どう折り合えるか相談します。
  • Q.
    ショッピングセンターに関して言えば、最近は競合も増えています。
    A.
    負ける負けないで相手を見ることはしません。それぞれの店舗の良さがあるし、客層も違う。ある程度棲み分けているつもりです。従業員には、お客様の声をしっかり聴くように伝えています。そういう細かな対応は大店舗ではできないことですし、そこに専門店なりの強みがあると考えています。
  • Q.
    たんばプレミアム商品券や、たんば共通商品券の発行事業団体、たんば商業協同組合の理事長もされていますが。
    A.
    プレミアム商品券においては、販売方法などご批判をいただくこともありますが、これも地域振興という本来の目的のためと考えてご協力させていただいています。
     地域振興という側面からは、買いたいという購買欲が重要です。買いたい思いの人をいかにたくさん作るか。それが景気対策であり経済対策につながります。他市では商工会窓口などで販売するところも多いですが、丹波市ではショッピングセンターで売ることにしました。それも買いたいという気持ちを盛り上げる仕掛けです。
  • Q.
    多分野の仕事をされていますが、仕事間の比率を考えたりされますか?
    A.
    しませんね。それをすると手を抜くことが癖になってしまいます。そのときそのときの仕事に全力でかかるための時間をどのように確保していくか。それが大切だと思います。