先輩経営者に訊く

挑戦を忘れない姿勢が、現在の会社を形作った

株式会社大地農園
  代表取締役社長 大地但氏
昭和30年創業、現在の年商は24億円という、プリザーブド・フラワー市場の最大手。顧客目線の商品開発に定評があり、取引先も世界規模。経営を支える理念を伺います。
  • Q.
    創業の経緯を教えてください。
    A.
    創業は昭和30年です。当初の主力商品はドライフラワーだったのですが、はじめ、山シダを白くしたいと工夫を重ね、ようやく実現したのが事業につながりました。
  • Q.
    その後、プリザーブドフラワーに進出されたのですね。
    A.
    ええ。もっとも、それも開発を始めたのが平成7年のことで、ようやく販売にこぎつけたのが平成15年です。7年間かかりました。
  • Q.
    すごい忍耐力ですね。普通の会社ならあきらめてしまうところでは?
    A.
    そうかもしれません。しかし、この経験が強みになっています。どのようなクライアントさんの要望でも、お答えするだけの対応力になっているというか、じっくり取り組んで実現したということが、ある意味、自信になっていると思います。
  • Q.
    そうして開発されたプリザーブドフラワーが、今の主力ですね。
    A.
    そうです。最初主力だったドライフラワーに代わり、今ではプリザーブドフラワーがメインです。企業の継続には、このように新商品の開発は不可欠ではないでしょうか。主力だった商品のサイクルが終わる前に、新しいジャンルにチャレンジし、次の種を生むことが求められます。つねに、いま現在の事業に注力しつつ、新しい分野への挑戦も怠らない、弊社もそれを継続したからこそ、現在があるのだと思います。
  • Q.
    確かに、時代は変わるので、ひとつのことに固執することにはリスクがありますね。
    A.
    ええ。お客様は変化します。花を見て「かわいい」とおっしゃる、その「かわいさ」の定義も、時代によって違いますよね。弊社でも、プリザーブドフラワーの中でも、伸びる商品とそうでない商品があります。また、用途にしても、従来は生け花教室などスクール用が多かったのですが、母の日や敬老の日、クリスマスといったプレゼント市場が伸びるといったように、やはりお客様の声を聞くことが欠かせません。
  • Q.
    そうしたお客様の声、市場の変化はどのようにしてとらえられていますか?
    A.
    欧米の展示会などに出るようになってから、もう30年になるでしょうか、海外を含む幅広い情報源を持っているとは言えると思います。一方で、開発の拠点は国内ですから、お客様の声をすぐに反映して、トライ&エラーを繰り返すことができます。幅広い素材を扱っていますから、お客様の思いをすくい上げて、さまざまに工夫もできます。このように、たえず開発と連動しながら、お客様の声を反映する対応力こそ、お客様のためになる自社の強みではないかと思います。
  • Q.
    世界を視野に入れていらっしゃるのですね。
    A.
    仕入先では海外20か国以上になります。ケニアやコロンビアが主力ですが、フェアトレードということを意識し、できるだけ現地の発展につながるようにと心がけています。そのことは丹波という地域に対する思いと変わりません。変わったところでは、ノルウェーのツンドラ地帯の苔なども利用しますが、それにしても乱獲とならないよう、採る範囲はコントロールしています。
  • Q.
    とても真摯な企業という印象です。
    A.
    花という、自然と人のふれあいに根差す企業ということを忘れてはいけないと考えています。花の色を脱色したり染めたりという工程もありますので、排水への気配りは欠かせませんし、廃油をグリーンエネルギーとしてリサイクルするなど、現代の環境問題に対する取り組みも重視しています。それらが当然のように配慮されていてこそ、人と自然のふれあいの美しさ、感動と安らぎを提供できると信じています。
  • Q.
    今後、たいせつにしたいのは何でしょう?
    A.
    人材の育成でしょうか。顧客満足を基点に商品やサービスを考える姿勢が自然に見につくようでないといけないと考えています。その上で、イノベーションを起こせる環境を持続すること。地元の村を歩くだけでも、新商品のアイデアが見つかりますので。
  • Q.
    社長自身も、散歩しながら新商品に思いを巡らせられるとか。
    A.
    ええ。日課のようなものです。毎朝、畔草を摘んだり、樹木を見たりしつつ、散歩をしています。その中から新しい発想が生まれることが少なくありません。
  • Q.
    丹波の里に開発の種がある。
    A.
    ほんと、そうですね。いつも新しいものにチャレンジすることを忘れてはいけないと思います。
  • Q.
    まさにチャレンジャーの言葉ですね。本日はありがとうございました。
    A.
    ありがとうございました。