先輩経営者に訊く

会社の永続はお客様と社員が接する現場満足から

株式会社土田商事
  代表取締役社長 土田博幸氏
創業100年。グループで16億円を売り上げるTSPグループを経営する土田社長。その経営の基本には、しっかりとした哲学と論理と情熱がありました。
  • Q.
    土田商事さんは、昨年が創業100年でしたね。
    A.
    ありがとうございます。創業は1913年で、初代の土田徳太郎が17歳で起業しました。当時最先端の万年筆を、柏原の裁判所長官にお買い上げいただいたという逸話が残っています。その時の「感謝と喜びの気持ち」を、それ以来100年間、経営の原点として忘れないで貫いています。
  • Q.
    一方で、常に進化し続けているところもありますね。
    A.
    当初の文房具店から、昭和40年代にはスチール家具に、昭和50年代には事務機器に、昭和60年代にはOA機器にと、常に新しいジャンルを開拓してきました。平成に入って以降も、文具通販に進出するなど、その姿勢を続けています。さらに今年は、OAサポート分野に進出します。
  • Q.
    その原動力も「歓びと感謝の気持ち」なのでしょうか?
    A.
    ええ。当社は経営理念の中で「笑顔で100年企業を目指します」と言っているのですが、その起点は、お客様との接点だと考えています。今の業界では、商品やサービスにはそう差はありません。お客様にとっては、何を買うかよりも、誰から買うか、どこから買うのかが重要になってくる。そのためにも、お客様の総合的な満足度ということを考えなくてはなりません。それを考えた結果が、お客様満足・社員満足という事業展開につながっているということです。
  • Q.
    しっかりした企業理念をお持ちですね。
    A.
    「お客様の事業の繁栄に貢献すること」「従業員の成長や自己実現を目指すこと」「社会から信頼されること」そして「文具事務用品業界の先進的企業に」ということを掲げています。このうち、最初に掲げているお客様の満足、二番目に掲げている従業員の満足は、両者が出会う、顧客接点でしか起きないと考えています。その瞬間の質が、会社の永続を保証するのではないでしょうか。そして、その繰り返しの中で、三番目に掲げた社会貢献が可能になる。そのようにとらえています。
  • Q.
    社長就任が1988年のことですね。
    A.
    父からバトンを受け取った当時はまだ「氷上郡」6町の時代だったのですが、シェアが高かったのは柏原町と山南町だけでした。そこで、ひとつは「柏原の土田から氷上郡の土田になろう」と考えました。当時の売上高は1億3000万円でしたが、氷上郡の文房具の市場規模をスーパーやホームセンターを除けば10億円と見込み、シェアはその50%を目指そうと。さらに、当時は粗利におけるスポット売上の比率が50%と高かったので、継続的に見込める割合を70%まで高めようと。そのためにも、優良顧客の深耕が必要だと。そんなことを考えて取り組みました。
  • Q.
    お話しを聞いていると、本当に経営者らしい考え方だとうっとりします。
    A.
    いえいえ、実は、大学を卒業した当初は、東京でフリーライターとして暮らしていたのです。一般の初任給より多い稼ぎをライターとして得ていました。でも、2年後の1982年ですが、会社を継ぐために戻ることになりました。その頃のエピソードですが、ある事業所から、相見積を出してほしいというお願いがあったのです。ただ、それまでの流れから、発注先はほぼ決まっている様子。気乗りしないままそこに向かう途中、「どうせ売れないなら、せめて笑顔と爽やかさを売ってこよう」と気持ちを切り替えたのです。後日、その事業所の担当の方から、別のお仕事をいただきました。その経験を経て、ようやく、東京に戻らず頑張る決心をしたのです。
  • Q.
    お客様の満足度重視の姿勢は、そんなところにもルーツがあるのですね。
    A.
    そうとも言えますね。今、当社では売上高を「お役立ち高」粗利を「お役立ち貢献高」営業利益を「お役立ち満足高」と呼んでいます。会社目線ではなく、お客様目線でとらえることが重要で、これを社員にも共有し、一緒に成長し、やりがいや自己重要感を大切にして、働くことへの満足度を高めていただきたいと考えています。そのために、自分の思いを伝える社長通信を10年以上にわたってずっと続けています。
  • Q.
    聞くと従業員さんの平均年齢は28歳とか。若いですね。
    A.
    結果的に、そうなっていますね。現在、TSPグループは、土田商事と舞鶴文具、オフィスサポートを運営しています。また、その会社の社員の中で経営者として一番優秀な人を40歳までに社長にしたいと考えています。経営には時代感覚も必要ですし、一般的に40歳を過ぎるとリスクを避けるようになりますから、リスクに果敢に挑める年齢が良いと認識しています。
  • Q.
    経営者として大切なことは何でしょうか?
    A.
    ロジックとパッション、そしてパーソナリティではないでしょうか。そして、なかでもパーソナリティがもっとも大切だと思います。